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現状回復コラム

第十四回 原状回復を巡る判例の動向2
限定的な特約が有効とされた判例(平成7年 仙台簡裁)

●借りた人に一方的に不利でない、限定的な特約なら認められることも

 契約書に記載されていた特約のうちで、これまで認められた例として挙げられるのが、平成7年に仙台簡裁で示された判断です。この裁判は平成2年に仙台市のアパートを月額4万8000円で借り、平成6年に退去した入居者が退去後、契約書にあるとおり、
@畳表の取替えを負担すべし
A借りた人の責めに記すべき理由で室内を汚損したときには原状に復さなくてはいけない
という特約を理由に、和室・洋室・玄関・台所などの壁の張替え、畳表取替え、その他の諸費用を請求したというもの。請求金額は一式で23万円弱でした。

 これに対して仙台簡裁は
@契約条項にある上からは畳表の取替え費用は負担するのが妥当
Aその他の部屋の壁の汚損については湿気や日照、通風の有無や年月の経過などの要因からなるものと判断されるため借りた人の責めに帰するとするのは不当
 と判断。畳表替えの特約のみを認めました。結果、借りた人は畳表替えの費用、3万円弱を負担することとなりました。

●特約の内容を説明、理解されていれば有効という考えも

 畳表替えやカーペットの張替えなどを特約として契約書に記載している例はまだまだ多いはずです。では、今後、この特約はどうなっていくのでしょう?

 これまでの判例で見ると、特約自体を否定する内容はまだまだ少数です。ただ、きちんとした説明がなかった、借りた人が内容を理解しているとは思えなかったなどの点から認められないという例が多いのです。

 その意味では、例えば東京ルールのように、契約時に特約事項の内容、その意味、負担割合について、明確な説明があり、借りる人がそれに納得しましたと意思表示をすれば、成立の可能性は十分ありえます。

 という半面、今後は契約の妥当性を考えるのに、消費者契約法により配慮した判断が下されるようになっていく可能性があります。そこでは、特約自体が違法という判断もありえるかもしれません。実際、関西では、同法に基づいて敷引きが無効という、これまでになかった判断も下されています。この判断が主流になっていくかどうかは、まだ分かりませんが、念頭に置いておく必要はあるでしょう。

 また、特約を設けるにしても、それが不当に高い金額にならぬよう、納得、了解を得られるような努力は必要と思われます。

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