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現状回復コラム

第八回 長く住めば大家さん負担が増える

●長く住めば住むほど、経年変化、通常損耗も増える

 長く住み続けていれば、当然室内は汚れますし、設備も古びてきます。これまでは、その分の原状回復の負担は入居者という考え方をとる人が少なくなかったようですが、国土交通省のガイドラインでは明確に、これが間違いであると指摘しています。

 というのは、長く住んでいれば、経年変化、通常損耗する部分が増えるからです。実際、入居1年で設備を壊してしまった場合と10年目で壊してしまった場合では、壊されたものの価値が違うはずです。設備や品目にもよりますが、1年目なら、まだまだ耐用年数は残っているでしょうし、10年目なら償却してしまっているでしょう。それなのに、入居者が負担する額が同じでは不合理というのがガイドラインの指摘です。

 たとえばカーペットの償却年数は6年で残存価額は10%とされています。カーペットが新品時に入居した場合、6年後にその価値は10%になります。そこで、入居者がカーペットに不注意で焼け焦げなどを作ったとして、退去時に交換することになったとすると、入居者が負担すべき割合はその10%ということになります(実際には取替え部分などによっても変わってきますが、ここでは説明を簡単にするため10%としています)。

●入居年数で負担の割合を決定

 ところで、すべてが新品の状態ならいざ知らず、築年数が経ってくると、設備や部分によって交換の時期がずれてきます。となると、どれが何年後にどのくらい償却されているのかなどを正確に知ることは現実的に不可能。

 そこで、ガイドラインでは、誰にも分かりやすい入居年数を目安にすることを提案しています。当初の時点を何%とするかは貸す人、借りる人で確認、そこから入居年数で償却していくという考え方です。

 この場合、入居前に壁紙等を張り替えていれば、その部分は100%としてのスタートになります。そのため、入居前に何を新しくしたのか、していなかったのはどこかを明確に入居者に説明しておく必要があるでしょう。

 最近では年数による負担の割合の表などを契約時に入居者に配布している不動産会社もあります。こうしたところに頼んでいれば、後々トラブルになる可能性は少ないでしょう。

●襖・障子や畳表、フローリングの部分補修は例外

 ところで、室内のすべてが入居年数で価値が低減していくろいう考え方で整理できるわけではなりません。

 たとえば、今では少なくなりましたが、襖や障子、畳表などは消耗品といっていいほど、価値の減少が大きなものです。そのため、減価償却の考え方を取り入れることは難しいとして、ガイドラインは毀損の軽重に関わらず、入居者負担とすることが妥当としています。

 同様に、フローリングの部分補修は、将来的には全面的に張り替えるものとすると、単なる途中経過であると位置づけ。部分的に補修しても、フローリングの価値が上がったとは考えられないため、入居者が負担するべきだとしています。(もちろん、全面張替えとなると、別の話になります)

 いずれにしても、築年数が経過するほど、手を入れる時期が部屋や建物によってずれて、分かりにくくなってきます。しかし、それをそのまま放っておくと、敷金の管理、返還などにつじつまが合わなくなることも考えられますから、こまめに記録しておきたいところです。

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