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編集部の独り言

船場吉兆に思うこと

2年前の夏に京都嵐山にある吉兆本店にお昼を食べに行き ました。連れて行ってくれた人が吉兆2代目の親族にあたる 人だったため、その日の夕食はその2代目さんと一緒という 滅多にない経験をしました。

ところで、その2代目さんは現在話題になっている船場吉 兆さん方とは無縁の人です。吉兆というのは湯木貞三さんと いう伝説的な人物が起こした料亭ですが、私が夕食をご一緒 した2代目はその弟子だった人。その後、創業者の孫である 今の3代目が吉兆を継ぎ、船場吉兆その他も創業者の親族の 会社です。
 
さて、その夕食の席での2代目さんはいかにも職人さんと いう風情で、ごく普通のおじさん。しかし、やはり料理人で ある私の知り合いと料理の話をしだすと、その熱いこと、熱 いこと。現在吉兆で使われている酒やみりん、野菜などをど のように見つけてきたか、トイレの水音がお客さんに聞こえ ない設計をしてもらうまでどれだけ建築会社とやりあったか 云々、今でもその熱気とともに内容はよく覚えています。

しかし、今回問題となってテレビ画面に出てくる船場吉兆 の方々には職人さんらしい、現場を知っている人らしい雰囲 気がありません。謝罪の場だからそう思うのかもしれません が、いかにもビジネスマン、経営の人、お金儲けの人、その ような印象を受けてしまいます。そう思いながら、あの2代 目さんだったら、こんなことは絶対しないだろう、そうも思 いました。現場で真剣にモノを作っている人間には、いい加 減なモノは作れませんし、モノ作りの尊厳を傷つけるような 所業はなかなかできるものではないからです。

会社が大きくなれば、現場の人間以外が必要になります。 収支を考えない人ばかりでは会社は立ち行かないでしょう。 しかし、現場を大事にしない会社はその時点で船場吉兆のよ うに、道を踏み外す可能性をも抱えてしまうのではないか、 ニュースを見ていてふと思った次第です。

ちなみに、京都の吉兆さんの3代目はテレビでもおなじみ の、現場の人。基本を大事になさる人ですから、今回のこと でグループの他社がダメになっても、先代の伝統を引き継い でくださるものと期待しています。

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