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賃貸インタビュー

第十ニ回 大家さん歴2年で2室、2棟 国房啓一郎さん

国房啓一郎さん (くにふさけいいちろう)
1970年、山口県生まれ。IT系企業に勤めながら、不動産投資を行う、いわゆるサラリーマン大家さん。20歳の頃から株式投資などを始め、数々の金融系商品の投資を経験し た後、2年前から不動産投資を始める。IT系企業にお勤めのせいもあり、投資や経営にもITをフル活用していらっしゃるという。

ご本人のブログ : IT系大家さんのど素人がはじめる不動産投資効率化講座

 2年前、ベストセラーとなった「金持ち父さん貧乏父さん」(ロバート・キヨサキ)に刺激され、不動産投資を始めようと思ったという国房さん。以前から株式投資はやってい たものの、不動産投資は入門書を読むことから始めたという経歴ながら、この2年間でワンルーム2室、2棟を所有、しかも満室状態をキープしているとか。その成功のためのノウハウをお伺いしました。

「不動産投資ならお金を借りられる!」その思いがきっかけに

 20歳前後から株式投資をやっていたという国房さんが前述のベストセラーに影響され、不動産投資に目を向け、最初にコレはいいぞ!と思ったのは「株式投資では金融機関 からお金は借りられないが、不動産投資なら借りられる」ということだったのだとか。

 「普通のサラリーマンでもマイホームを買う時には年収の5倍くらいは貸してもらえる。それなら、投資にだって貸してもらえるだろう、確か、銀行でアパートローンという 商品があったし……。じゃあ、借りて投資しよう、そう思ったのです。」

 これをリスキーと思うかどうか、そのあたりが多分、投資家になれるかどうかの境目でしょう。マイホームのためのローンなら損をして払えなくなることはありませんが、 不動産投資で空室が出れば、ローン破産もありえます。しかし、国房さんは踏み切ります。
その後、あちこちの不動産会社のホームページをチェック、最初に購入することになる表参道のワンルームに出会います。その間、7冊ほどの不動産投資のノウハウ書を読んだものの、「投資する物件の種類や規模によってノウハウは違うはずなのに、書いてあることは同じ。特にワンルーム一部屋用の投資の入門的な本はありませんでしたね」。
特に不足を実感したのは銀行からお金を借りるノウハウ。どの書にも「銀行と仲良くなって云々とありますが、実際にどうしたらいいかは書いてない。結局、購入する物件を紹介してくれた不動産会社からその会社で付き合いのある銀行の担当者の名まえを聞き、貸してもらえないか、打診して回りました」

ごくささいな工夫が賃料を20%以上アップさせる

 そして不動産投資を考え始めてから1年後、購入したのが表参道のワンルーム。それまで利回り7〜8%の物件ば かりを見ていた中で、ここは9%以上。
それで、すぐに飛びついたのだとか。

 ところが、この入居者は数カ月ほどで退去。「後で気づいたのですが、その部屋の賃料は周囲と比べて破格に高か ったんです」。そこで、相場に合わせて、以前より低い賃料で募集すると、利回りは7%台にダウン、収支計画に狂 いが出てしまいます。これはまずいと、国房さん、家賃アップのために自分にできることがないかを考えます。

「まず、表参道なら礼金・敷金は2・2が通常ですが、これを0・0にしました。見た目の印象を変えようと庭に観葉植物を植え、部屋に手を入れました」

 といっても、壁紙を張り替えるなどの大規模な内容ではありません。「替えたものはコンセントプレート、水道の蛇口、照明器具など。コンセントプレートは数百円から1000 円程度ですが、これを替えるだけで、部屋の印象はがらりと変わるんです」

 その結果、無事、入居者を確保。礼金・敷金がないとしても家賃を高く設定でき、空室期間を作らずに済めば、問題なし。実際、8万5000円で礼敷を4カ月とると総額は34 万円。これが礼敷無しで10万5000円で貸せれば、その差額、2年間で48万円。いい計算ではありませんか?

一番強いのは自分で動いて会得した自分なりのノウハウ

 続いて中野のワンルーム1室を購入したものの、ここで方向転換を余儀なくされます。「銀行さんにもうワンルー ム1室では貸せない。1棟なら考えるが、と言われてしまったのです」。

 銀行さんの論理によると、リスクは分散したい、1室だけだと、結果はゼロか100。1棟で複数戸数あれば1室空室 になってもゼロにはならないと。

 ここまでの不動産投資で都銀、信金、ノンバンクと各種金融機関を回っていた国房さん、「都銀だと年収の6〜7倍までだけれど、ノンバンクなら8倍、9倍も貸してくれ る。それなら1棟もいけるんじゃないかと、半年以上探して今度は埼玉県みずほ台の15室プラス3店舗の物件を購入することにしました。一般のサラリーマンの場合、マイホ ームだと物件価格4000万円くらいが限界。自分の場合はそれまでにも融資を受けていたので、それほど高い物件は買えないだろうと思いつつ、でも、無理を承知で打診してみ たのです」

 その結果、借りられるだろうと思っていた額より2000万円以上高い物件だったにも関わらず、2行からOKが出、 そのうち、20年返済でお願いできるノンバンクに融資をしてもらい、無事購入。

 その後、さらに同じ埼玉県内でもう1棟を購入。これは「金融機関を回っていて、融資枠が拡大しているという実 感があったのです。投資仲間からも同じような情報がありました。おととしまでは再建築不可や借地権の物件には貸 してくれなかったのが、去年くらいからOKに。それなら、借りられるときに借りて買おうと思ったのです」

 もちろん、ただ貸してくれというだけで貸してもらえるほど世の中は甘くありません。まったく何のつてもないところから金融機関巡りをして、都銀、信金、ノンバンクそれぞれに融資方針、基準があること、融資に当たっては決算書や収益予想など、相手を納得させられる数字的な裏づけが必要なこと、国房さんは自分でノウハウを積み上げてきたのです。

 購入する物件を検討する際にも、東京カンテイのデータで坪単価を比較、総務省統計局の人口統計からその地域の人口の増減をチェック、賃貸相場を賃貸情報誌から調べ、その上で現地に行くのだとか。「投資専門の不動産会社はプロを相手にしているせいか、愛想が悪い。データを知っておくなど、理論武装しておかないと、交渉なんてできません」

 国房さんのノウハウはこれだけではありません。簿記を知らなければ、経理事務所に頼むのが普通でしょうが「会計ソフトを買って、自分で入力。分からないことは国税庁のTAX ANSWERに電話あるいは税務署に行って相談したり、どうしても分からない点や決算書提出前には会計士さんにスポットで依頼、見てもらっています」。1時間数千円、スポットで会計士を利用、決算関係も含め、経理関係の支出は年間で3万円ほどで済んでいるそうです。

 このほか、所有物件の管理、仲介・管理を委託する不動産会社の選択から、物件の見方まで、ノウハウは不動産投資全般に及びます。正直、私も長くこの仕事をしていますが、全くの素人が2年でここまでの見方ができるようになるとは、驚き以外の何者でもありません。しかも、まだ、(というのも失礼ですが)35歳、シングル男性です。どうしてここまでできるのか?

 その答えかも知れないと取材後の雑談の中で感じたことがあります。

国房さん曰く「お金を儲けることが最終的な目的ではない」。

 では、何が目的か。
「儲けたお金で自分にない才能を育てるようなことをしてみたい」。

 本来、投資というのはそうしたものだったのではないかと思います。特に不動産投資は不動産を持っているだけで利益を生み続けるものではありません。変な言い方ですがそこに愛情を注ぎ続けなければいけないものだと思います。その意味で、国房さんの姿勢が、自分で動き、投資するものに細心の注意を注ぎこむことが、最良の結果を生んでいるのではないか。

 これが正しい答えであるかどうかは、皆様の判断にお任せします。が、これからの投資家はこうあって欲しいと、同じ年代のホリエモンを思うだにつけ、切に願ってやみません。

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