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賃貸インタビュー

第三回 カワナ・ネットワーク 代表取締役 川名浩さん

川名浩(かわなひろし)
早稲田大学商学部卒。西武流通グループ(現セゾングループ)(株)スミスマーケティング部で店舗開発・商品開発等に関わるマーケティング業務に携わり、その後(株)ケイワン等を経て、1996年東京都東中野にカワナ・ネットワークを設立。
設立後すぐにホームページを立ち上げ、現在では毎月コンスタントに6万数千以上のアクセス数があるそうだ。
http://www.kwnet.co.jp(一般のユーザー向け)
http://consultant.jp/(大家さん向け)

デザイナーズって何?

 毎年年末に、翌年注目の物件を紹介する雑誌記事を手がけています。そのうちで一際印象に残った物件のひとつにLaguz(ラグズ)という、いわゆるデザイナーズマンションがありました。防音室や、駐車場から室内に入れる間取りなど、個性的でかつ、全室異なる間取りが用意されている点が面白いなと思ったのでした。

 そこで、お邪魔したのが、この物件のプランニング、集客、管理を手がけているカワナ・ネットワークさんです。  ところが、「マスコミでもネットでも、デザイナーズという単語をよく使いますが、私たち自身は使ってはいません。だって、なんとなくは分かるけれど、具体的にどんな物件かと考えると、分かりませんよね?」

 ……。確かに安易な言葉かもしれません。

「でも、今回、自分なりに定義を考えてみました。賃貸だから住める、インテリアにこだわったるなど、住む人のこだわりを実現できる住まい、それがデザイナーズかな、と。だから、それを求めている人がいるのが分かる半面、別にデザイナーズを求めていなくても、間取りや賃料など、あらゆる面で住みたい部屋なら借りてくれると思うんですよ」

 実際、カワナ・ネットワークさんの管理している物件はとんがったデザインのものばかりではありません。今回もたまたま、一般的にデザイナーズと呼ばれる物件に仕上がっただけなのだそうです。

「会社を立ち上げて半年後にはホームページを立ち上げていましたから、もう9年ほど。ネットを通じてユーザーのニーズ、ノウハウを汲み上げて来ました。それを反映させた結果がたとえば、Laguzだったりするわけです」

デジタルを通じてアナログな仕事

 今どき、どの不動産会社でもホームページ自体は持っているでしょう。でも、9年余という会社は希少。さらに、川名さんはログの分析より、リクエストやクレームなどをじっくり読み込むという使い方をしているそうです。
「数を集めての分析は大手にはかなわない。でも、こういう人が、こういうものを求めているなど、アナログの分析なら、小さい会社のほうが逆にじっくりできます」
 不動産会社の存在意義についての講演で、川名さんは「エンドユーザーを知っている、幅広く他社の物件を知っている、つまり、マーケット全体の状況を知っているのが不動産会社。これは大家さんにはできないこと」と仰ったそうですが、たしかに、こうした長年の地道な蓄積があればこその発言でしょう。

 その蓄積は当然、賃料設定にも及びます。
「今の人たちは大家さんより価格に敏感です。同じ建物内で階数が高くなると家賃が高くなるのが当然で、しかも上階から決まるのがこれまでの常識。ところが、今は同じ間取りで2000円、3000円の差なら安いほうから決まることもあるのです。勘で値付けなど、これからは通用しません」

1部屋1部屋にセールスポイント

 ユーザーを知っているということは、ニーズに合わせた物件作り、賃料設定につながるわけですが、もうひとつ、物件のアピール方法にもつながります。

「何年か前に他の2社が仲介してなかなか決まらない部屋がありました。築10何年、でも38uの広いワンルームで、打ち放しに、今はないような木製サッシの入った部屋でした。建築家が建てた、独特の雰囲気、それに好みに合わせて仕切れるような機能性もある。ところが、それまで扱っていた会社はおざなりのコピーに間取り図を用意していただけ。私たちが、その特徴を克明に書いたチラシ、ネット上での物件紹介をしたところ、ネット経由で決まりました」

 おかしかったのは、川名さんが用意した物件資料を見て、以前扱っていた会社が問い合わせを入れてきたということ。同じ物件でも説明が違うだけで、どれだけ見え方が違うか、いい例です。

 たとえ、1戸しかない物件でもその物件の魅力、セールスポイントを見つけるのに、時間をかけるという川名さん。特にネットユーザーはおざなりな言葉ではなく、より具体的な説明や書いた人の見える説明に興味を持ちます。会社の規模は小さくても、ネット利用者の中での認知度が高いという点には納得できます。

 とはいえ、一部屋一部屋に違うセールスポイントを考えるのは、大変な作業では?

「確かに大変ですが、誠実にやるというのがこの仕事の基本。大事な資産を託していただくためには信頼していただかなくてはいけない。そのためには裏表なく、誠実であること。報酬次第で動き方を変えるようでは信頼は得られないでしょう」

 今どきの若い人に受けるデザイナーズの作り方といった、軽いテーマのつもりでお願いした取材で、久しぶりに、真正面から「誠実にやる」という言葉を聞きました。

 そこで結論は当初の意図とは違ったものになりました。大家さんは、こうした言葉を真剣に言える不動産会社をビジネスパートナーに選びたいですね。

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