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賃貸インタビュー

第四回 オーナーズエージェント(株) 代表取締役社長 藤澤雅義さん

藤澤雅義(ふじさわまさよし)
1961年12月生まれ。都内の不動産会社、ハウスメーカー勤務を経て、1996年に賃貸物件の企画・投資・建築プロデュース及びその経営管理(プロパティマネジメント)を専門とする潟Aートアベニュー設立。2001年、建築会社とプロパティマネジメント会社のためのフランチャイズの業務支援組織を立ち上げ、その本部であるオーナーズエージェント鰍フ代表取締役に。
オーナーズエージェント http://www.owners-age.com

プロパティ・マネジメントと仲介、違いは大家さんとの利益関係

 これまで賃貸物件を扱う不動産会社といえば、仲介が仕事の中心。仲介手数料が大きな収入源でした。その意味では、入退去が多いほど、不動産会社は儲かります。

 バブル時のように、次から次に入居したい人が現れ、新しい家賃を高く設定でき、しかも今ほど原状回復での敷金返還に厳しい目が向けられていない時代なら、それでも良かったのです。

 しかし、今はどうでしょう? 一度空室になると、なかなか埋まりにくい。新家賃は現状維持が精一杯、原状回復の費用負担も大家さん持ちが増す……。これからの時代には良質な入居者に長く住んでもらうことが大事なのです。が、それでは従来型の、「仲介」で生業(なりわい)を立てている不動産会社は困る。従来の不動産会社のやり方は大家さんの利益と相反することになってしまいます。

「そこが、プロパティマネジメントと仲介業の違い」とはオーナーズエージェントの藤澤さん。いわゆる、賃貸管理業の我々は本利、純粋に「オーナーの代理人なのです」

空室期間を気にする前に解約させない物件作りを

 具体的に説明しましょうと藤澤さんが書いてくださったのが空室率をあらわす下の図式です。総戸数が10戸のマンションがあったとすると、空室がない最大限の家賃は下の10戸×12ヶ月分です。しかし実際には、平均的な解約率が20%とすると、年に2戸が空室になります。そして、一戸あたりの空室期間がそれぞれ3ヶ月としたのが上の2戸×3ヶ月という部分。計算してみると、空室率は5%になります。

空室率
2戸×3ヶ月/10戸×12ヶ月=5%

 大家さんも、これまでの不動産会社も空室ができ、しかも空室期間が延びることには敏感でした。空いたら、早く決めなければ、と誰しも思ってきました。でも、解約は仕方ないもの、不動産会社としては手数料が入るチャンスとも思われてきました。

「しかし、本当は解約率を下げることに目を向けなくてはいけないのです」と藤澤さん。これをテナント・リテンション(入居者の保持)というそうですが、そもそも解約しなければ空室にならないのですから、至って正論です。

「大家さんなら入居者に早く、高くで決めてもらえて、なおかつ長く住んでもらえる物件作りを目指すべき。そのためには『企画』と『運営』が大事。それを提供するのが私たちの仕事です」と。

 結婚や転勤など、物件自体に由来しない理由での解約もありますが、「解約した人によくよく聞いてみると、隣がうるさい、いつもゴミが散らかっているなど、これまで不動産会社も大家さんも気づいていなかった理由が出てきます」。こうした問題をそのままに、新規募集をしても、解約率は下がりません。

 企画では「賃貸の現場を知らない人が作っても入居者のニーズには合わない。例えばファミリー向きなのに、北向き。これでは一冬後に解約が相次ぎます。新婚向けだから、2DKと思うのも今や勘違い。6割近くのカップルは1LDKを望んでいるのです。このように、マーケティングもなく、差別化しようという意識もなく、ただ無難に物件を作っているようではジリ貧です」

決まる物件、ダメな物件ははっきり2極化

 バブル経済期以降、不動産価格は下がりました。確かに家賃も下がってきたと報じられています。「平均値で見えればそうでしょう。でも、平均値が自分の物件に当てはまりますか?」

 一番土地の高かった瞬間は昭和61年ですが、世田谷区の一般的な住宅地の坪単価は800万円しました。今は200万円強でしょう。西新宿の超高層ビル街の家賃は坪当たり80万円でした。今は2万5000円といったところです。しかし、賃貸住宅の家賃は違います。例えば、藤澤さんが独立前に携わった物件、世田谷区の、標準的な広さのあるワンルームは当時も今も8万円。まったく変わっていないのです。

「特に力のある物件は下がるどころか、上がります。私が手がけた南武線中野島の25m2のワンルームは相場より30%高いと言われています。家賃が8万5000円、相場より2万円は高いと。でも、ずっと満室が続いていますし、空いても解約予告時点で次が決まります」

 以前は100部屋あれば、いい条件の部屋から順に決まり、とりあえず、100人の入居者がいたから、全部埋まったものです。しかし、今は100部屋に借りたい人は80人の時代。20部屋は「決まらない」のです。決まる物件は決まる、決まらない人気のない部屋は「決まらない」。つまり、家賃収入が「0」の時代なのです。いい物件、悪い物件の差がつきやすい時代なのです。

 敷金返還や礼金の減少など、大家さんにはうれしくない状況の多い昨今。それでも、力のある物件なら決まる、下がらないという言葉には勇気づけられます。全体的に「景気が悪い」わけではなく、「一部の人気のない部屋」が平均値を下げているのです。であれば、「勝ち組」に残ることができればいいのです。そして、藤澤さんは、その「勝ち組」に残ることはそれほど難しいことではないとおっしゃっているのです。う〜ん、なんだか、「やる気」が出てきますね。

<藤澤さんの新刊本が出ます>
賃貸経営に必要な『企画』と『運営』を豊富な事例からまとめた書籍、「実践版アパート・マンション経営企画運営マニュアル〜初めて明かすプロパティ・マネジメント 満室稼動への道〜」が2月24日に住宅新報社から発売されます。定価は2835円(税込)全国書店または住宅新報社出版販売部(03-3502-4151)へお問い合わせください。

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