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賃貸インタビュー

第五回 リングアンドリンク(株) 金丸信一さん

金丸信一(かねまるしんいち)
1962年東京生まれ。金型メーカー(有)金丸精機製作所を日本有数のR&D型精密測定機メーカーを成長させ、トルク変換機やレーザー測定器、画像処理システムの開発に成功。 2000年には科学技術庁の補助金を受けて動脈硬化治療用レーザー発振器「シリウス」を完成させている。その後、不動産業営業支援システム「@dream2000」の開発をスタート。消費者と不動産会社をつなぐ「さらなりドットネット」http://www.saranari.net/や、メールマガジン「不動産屋さんに行く前に」「カリスマ不動産会社が答える」などの活動を続けている。

時間をかけて物件を探す消費者が大半、従来の広告1回では空室は解消しない

 「不動産屋さんに行く前に」と題するメルマガに注目していました。不動産会社のインターネット利用法を見ることで、そこがどんな会社か判断できる、消費者はネットで何を見ているのか……など、役立つ情報満載のメルマガだったからです。

 当然、発行者は不動産業界の人と思っていたのですが、これが全く違う業界の方。プロフィールをお読みいただければ、なぜ、この人がと思う人も多いはず。たまたま、ソフト開発に携わるようになったことから、いまや、不動産会社のインターネット利用に関してはプロに。多少、離れた立場だからこそ分かる、これから大家さんが付き合うべき不動産会社の見方をお伺いしてきました。

 お目にかかった第一声は「世の中は変わっているんです」。

「10年も前から物件は余っていました。でも、消費者はそれを実感できなかったから、否応なしに勧められた物件で決めてきたのです。しかし、インターネットをきっかけに、今は探せば物件はあるんだ、売り手市場でなく、貸し手市場だったんだと気がついてしまったのです」

 そこで消費者は、焦って探したり、決めたりしなくてもいい。物件を、不動産会社をじっくりチェックして選べばいいと思い始めたのだと金丸さん。そのため、検討期間はどんどん長くなっており、売買では半年、賃貸でも1ヶ月、長い人だと3ヶ月以上かけることもあるのだとか。

「ところが、多くの不動産会社はそれに気づかず、お金をかけてどんと1回広告を出して、それで勝負というやり方を続けています」

 広告を打ってそれで決まらず、次を出す予算がないとすると、その物件の情報を消費者は知る由もない。決まるわけはありません。

「でも、消費者は一度問い合わせを入れて、それでダメでも探し続けているのです。そこに適切な情報を提供できれば、1ヶ月後、2ヶ月後に決まる可能性はあるのです」

 そのためには問い合わせのあった顧客をデータベースに残し、メルマガなどで情報を発信、消費者との接触を点で終わらせることなく、線につなげていく必要があるのだと金丸さん。「しかも、それをタダでできるのがインターネットのメリットです」

リフォーム、賃料値下げはチキンレースの始まり

 空室が続くと不動産会社の多くはリフォームや賃料値下げを提案しがちです。

「でも」と金丸さん。きちんとした裏づけがあっての提案であればまだしも、単純に『下げれば決まるのでは』程度であれば、「5年後、10年後はどうなります?ずっと値下げし続けなくてはいけないのですか?」

「所沢で10室のマンションを持っていたとしましょう。でも、所沢に住みたい人は10人だけじゃありません。もっといます。ただ、借りたい人はあなたの部屋を知らない」

 そこで大事なのが、顧客のデータベースであり、その顧客に向けての情報発信です。この顧客の中には問い合わせを入れた人から契約してくれた人までが入ります。契約した人にも情報発信を続ければ、住み替え時には「また、ここで借りよう」という発展もあり得ます。

「こうした会社であれば、消費者に向けて提案営業ができます。家賃を下げなくても『古くてぼろぼろだけど安い部屋があります、どうですか?』という提案ができるんです。もちろん、同じことを大家さんにたいしても提案できますから、単純に『下げれば決まりますよ』とはならないはずです」

勉強不足では、有能な不動産会社とは付き合えない

 つまり、大家さんとしては、こうした仕事のやり方をしている会社をビジネスパートナーに選べば、空室の不安を抱えることはないということですね?

「う〜ん」とちょっと意地悪そうな表情の金丸さん。

「大家さんはもっと経営感覚を持って勉強しないと。ちゃんと努力し続けている不動産会社なら、不動産会社からの提案、情報に耳を傾けない、でも実務は任せきりという大家さんとは付き合いたくないでしょうからね」

 期間限定の仕事でない以上、不動産会社は10年先、20年先までずっと付き合える誠実なビジネスパートナーであって欲しいもの。そして、お互いに長く付き合える、付き合ってよかったと思えるためには、大家さんも変わらなくてはという金丸さん。

「そもそも、経営感覚のない大家さんの物件は入居者のことを考えていないから、店子さんも楽しくない。それで空室になって、でも、ダメな不動産会社にしか頼めないとなったら悪循環。もっと勉強して、誠実に顧客にアプローチし続けている会社を探す努力をしてください。顧客に誠実な会社なら大家さんにも誠実なはずです」

 かなり耳に痛いアドバイスでした。でも、これまでこの人のメルマガ読者として、不動産業界の状況、努力している会社の例をみてきた私としては、きわめて正論、正しいアドバイスに思えます。皆さんはどう思われますか?

<金丸さんの本が出ました>
インターネットで賃貸の営業方法を変革させてきた金丸さんのこれまでのノウハウ、不動産会社の実例をまとめた『街の不動産屋さん、待ちの経営から抜け出す』(さくらパブリッシング 発売:星雲社 本体1600円)が出ました。本来、不動産会社向けの本とのことですが、大家さんにも十分役立つ書籍だと思います。興味のある方は是非、お近くの書店でご覧ください。

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