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賃貸インタビュー

第八回 GNPで20年間、平均稼働率97% ア・ミッド 中山英男さん

中山英男さん(なかやまひでお)
高校2年生だった1978年に父が病に倒れ、それを機に生計維持と固定資産税・相続対策のため建設業に勤めつつ、1986年、25歳で最初のマンションを建設。
その後1996年に(有)ア・ミッドを設立、2004年に6棟目となるログ・コテージ(全8戸)を建設。栗平で一番安い物件と一番高い物件を所有する。
クレーム処理の迅速さに感動した入居者の実家から毛蟹やフリージアが送られてきたり、クリスマスのイルミネーションに感激した入居者が家賃に1000円をプラスして振り込んでくれたりと逸話には事欠かない大家さん。
ログ・ハウスが見られるホームページはこちら

住んでみたい!日本初、本物の賃貸ログハウス

 賃貸、分譲を含めていろいろな家を見ています。でも、率直なところ、玄関を開けた途端に「住んでみたい!」と思うような家は初めて。その家は、リゾート地以外では多分日本初、賃貸のログハウスです。

「住んでみたい!」と思ったのは、私だけではありません。ここの入居者は、住み替えの必要に迫られて引っ越してきたのではなく、この物件に住みたいという理由で引っ越してきた方ばかり。中にはホームページであらかじめ物件をチェック、静岡から見に来て、予想以上!と即決の方や玄関ドアを開けた時の木の香の良さに感激して決めたという驚くような方もいらっしゃるとか。これだけで、この建物の魅力、お分かりいただけるでしょう。

 このログハウスのオーナーが、これまでに5棟、シングル向きの物件を建設してきた中山さんです。これまでの物件は「外構のガーデニングなどには工夫していますが、物件自体はシンプルなものです」とのことですから、今回の物件はかなり異色。その理由は?

「ここ、栗平は小田急線の支線で、静かで自然の残された場所。そこにRC造は似合いません。また、供給過剰の2DKを安く作って安く貸しても仕方ない。それなら、今までにないモノを作ってやろうじゃないかというのがログにした理由です」

 もうひとつ、自分が住んでみたくなるものを作りたかったとも。

「本物の、いい素材を使ったログなら5年後、10年後と時間が経つに連れて趣きが増し、どんどん良くなります。あめ色になってくれば汚れは気にならないし、木の節になら釘を打っても目立たない。融資が終わった後、どれだけ長く貸せるか。それを考えると、イニシャルコストはかかるけれど、長い目では二重丸。それに、融資が終わったら建て直し、では環境にも優しくないでしょう?」

自分の物件は自分が一番知っている だから自分でHPを作成、情報を発信

 とはいえ、家賃相場が15万円のこの地域で20万円。しかも、ログハウスです。

「知る人の少ないこの地域で家賃20万円の物件を探す人はいません。ログハウスのカテゴリーで探す人もいないでしょう。だから、一般の不動産会社ルートだけで入居者を募集してもダメ、HPが必要だと考えました。ただ、会計事務所に相談したところ、プロに依頼するのでは収支的にどうかと。それで、会計事務所のアドバイスを頂きながら、自分で作ることにし、おととし6月に立ち上げました」

 HPでは建築途中の状況を刻々掲載。また、雑誌などに売り込みも行ったといいます。

「おかげで、内覧会ではそのHPを見てくださった方々で半分決まりました。自分の物件は誰よりも自分が良く知っていますから、それをきっちり自分の言葉で伝えられたのが、良かったのだと思います。今後は他の物件でも作っていきたいと思っています」。

 もちろん、良いことだけではありません。「個人の大家が集客するのは難しいということも実感しました。特に面白い物件であればあるほど、その物件を上手にアピールできるパートナーが必要ですね。それに大家が集客した場合、手数料をどうするのかという問題もありますしね」。

「今までにない」ソフトで長く住みたい、住む喜びのある物件に

 ところで、ログハウスはそれ自体が「今までにない」物件ですが、この物件のすごい(あえてすごいと言わせていただきます)のはそれだけではありません。

「この物件はソフトで勝負と思っています」

 住戸内のベンチやイスは中山さんが柱の端材を利用して手作りしたものです。契約時、花束などの記念品を渡されます。入居者に子どもが生まれたらプレゼントがあります。奥様の誕生日には花束が贈られます。自家栽培の採れたて野菜がプレゼントされます。春には筍堀のイベントがありました。敷地内に植えられたオレンジ、みかん、シークワーサーやりんごなどは実ったら入居者へのプレゼントになります。10年住んでくださった方にはBIG PRESENTの予定。「秋には柿もぎを企画しようと思っています」。

 いつもきれいに手入れされた敷地内の植栽は、四季折々の花が咲くように工夫されています。クリスマスには敷地中央のウッドウォールにイルミネーションが掲げられました。住んでうれしい場所にするよう、本当に細かい気配りがあるのです。

「単に空間を貸すというのではなく、コミュニティがあり、きれいで友達を呼びたくなるような住む喜びのある物件であれば、長く住んでいただけます。退去後に友達をご紹介いただくことにもつながります。それに、大家がこれだけきれいにしてくれているのだからと、部屋を大事に使っていただけますし、退去時の敷金精算でもめることもありません」。

自分で動き、入居者の声を聞く、それが利益を生む

 プレゼントや植栽だけではありません。クレームの処理などにも中山さんは自らすぐ動きます。

「10回言われてやってもらうのと、1回言って、すぐ動いてもらうのでは印象が違います。私はお客様に携帯の番号を教えて、何かあったらすぐ連絡するように伝えてあります。クレームは早いうちに対処して芽を摘んでおかないと。不満がたまって退去されたら、自分にマイナスです」。

 また、入居時には挨拶に行って、その後、クレームなどを言いやすい状況にしておくと同時に退去時には必ず立会い、退去の理由を聞くとか。

「10年前から各物件にはポストとは別にメールボックスを用意、何か不満があったら、そこに投函するようにと入居時、イエローカードを渡すのですが、入居中は言いにくいという人も。そんな人でも退去時はいろいろ言ってくれます。隣がうるさかった、エアコンの効きが悪かった……。聞いておけば、次のお客様への備えができ、クレームを事前に防げます」

 自分は大家さんじゃなく、中家さんか小家さんと笑う中山さん。「だから、自分で動かないと利益は出ません」と言いつつ、この20年間の稼動率は「最低の年で95%、出入りの少なかった年で99%」。平均すると97%、驚異的です。

 その稼働率の奥義は「GNP」。中山さんにいただいた資料にメモがありました。

 取材後、資料を見直してメモに気づいたところに、中山さんからメールが来ました。

「GNPのGは義理、Nは人情。ではPは?」

 Pから始まる日本語はないし……。私は当初、分かりませんでした。

 でも、この記事をお読みの皆さんにはお分かりですね。そう、答えはプレゼント。つまり、GNPのいずれもが入居者(中山さんはお客様とおっしゃっていました。この言葉にも深いものがあります)への心がけ、心配りを意味していたのです。大家さんの心からのサービスが稼働率97%を生む。中山さんからのいたずらっぽいメールはそう語っていました。

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