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■賃貸経営ニュースR

神戸地裁、敷引きは無効の判決

 関西地方では一般的な原状回復費用原資として認識され
てきた敷引の特約が無効であるとの判決が20日、神戸地裁
で下されました。

 この裁判は、神戸市中央区の男性(29歳)が返還請求を
棄却した神戸簡裁の判決を不服として上告していたもので、
男性は2003年8月に神戸市中央区のマンションに入居。保
証金は30万円で、7ヶ月後に退去する時点で敷引きとして
25万円を差し引かれました。男性はこれを不服として、訴
え続けてきたわけですが、今回の判決では、差し引かれた
25万円全額の返還を港区の不動産会社に命じています。

 これについて村岡泰行裁判長は「賃借人の利益を一方的
に害すものであり、消費者契約法により無効」と判断した
と見解を述べています。

 簡裁で棄却、地裁で逆転という事態に至った事実は重く、
この後、同種の敷引きを巡る裁判では、この判例が大きな
意味を持ってくるものと思います。敷引きという制度自体
を見直さなくてはいけない時期なのかもしれません。

賃貸経営Q&A

Q,費用をかけずに退去してもらうには?

家賃を3カ月以上滞納、いくら内容証明で支払いを督促し
ても知らん顔の入居者がいます。裁判を起こして強制執行
という手があると聞きましたが、それには多額の費用がか
かるとも。最終的には訴訟もやむなしと思いますが、その
前に費用をかけずに滞納を取り立てる手はありませんか?

A,簡易裁判所の支払い督促を利用しましょう。

 支払い督促とは裁判所の力を借りて相手に支払いをする
ように請求する方法のうち、もっとも手軽に行える手段と
言われています。

 これは正式な裁判手続きをしなくても、判決などと同じ
ように裁判所から債務者に金銭などの支払いを命じる督促
状(支払い督促)を送ってもらえる制度。民事訴訟法382
条に定められたもので、申し立ては額に関わらず、すべて
簡易裁判所で行います。では、流れを追ってどのようなこ
とが行われるのかを見ていきましょう。

相手の住所のある簡易裁判所の
3種類の書類を提出

 まずは相手方の住所地がある簡易裁判所に申し立てをし
ます。必要な書類は、支払い督促申立書、当事者目録、請
求の趣旨及び原因という3通。同時に書類を送付してもら
うために住所を書いた封筒や切手なども用意しなければな
りませんが、このあたりは、簡易裁判所に書式があります
し、書き方などの相談にも乗ってもらえます。不明な際は
相談に行くのが早道でしょう。費用についても、額や送付
方法で異なるので、相談時に聞いてみるといいでしょう。

 裁判所ではこの書類を債務者に送付。債務者が支払い督
促が到達した日の翌日から2週間を経過した日までに異議
を申し立てなかった場合、その日から30日以内に仮執行宣
言の申し立てをします。すると、裁判所は支払い督促に仮
執行宣言を付けてくれますから、これをもって、申し立て
た人は強制執行をできることになります。そして、仮執行
宣言付支払い督促を送達、2週間以内に異議申し立てがあ
れば訴訟に移行しますが、異議申し立てがなかった場合に
は強制執行手続き(差し押さえ等)を行うことができます。
 つまり、申し立てる人としては最初の申し立て、次の仮
執行宣言の申し立てと2回の申し立てが必要ということに
なります。

安く、早く、強制執行まで行えるが、
異議申し立てがあれば通常の訴訟に移行

 訴訟を起こすよりも証拠書面等が必要なく、安く、迅速
に利用できる支払い督促ですが、相手が督促に異議を申し
立てた場合には通常の訴訟に移行します。異議を申し立て
るには、届いた書面の異議の欄にチェックを入れるだけで
すから、相手に争う気がある場合には訴訟に至る可能性も
大。相手が支払い督促に心理的に動揺、支払ってもらえそ
うな場合には有効ですが、そうでない場合には訴訟の覚悟
もした上で利用したほうがいいでしょう。
 また、相手が行方不明で郵便物を送達する手段がない場
合にはこの手は使えません。いずれにしても、相手の対応
を考えた上で、制度を利用するかどうかを判断してみてく
ださい。

■編集部の独り言

高齢化と賃貸の新しい商品

 街を歩いていても高齢化社会を如実に感じる今日この頃。
賃貸住宅を巡るニュースでも、高齢者に関する物件やサー
ビスをよくみかけます。

 例えば大阪で誕生する介護が必要な高齢者向きの親子同
居型賃貸マンション。デイサービス施設を併設、訪問介護
など入居者が必要なサービスの提供も行い、40代〜50代の
年代の入居者を見込んでいるとか。家賃は2LDKで車椅
子でも利用できるようにトイレやキッチンは広め。賃料は
月額12万円で、敷金にあたる入居一時金は300万円程度に
なる予定とか。これまで、高齢者が単身で入居するタイプ
の賃貸はあったものの、親子同居は初。面白い思いつきだ
なあと思いました。

 あるいはパナホームが発表した高齢者向きの賃貸住宅。
コミュニティを形成しやすいようにと20戸〜50戸と比較的
小規模な建物は鉄骨構造の2階〜5階建て。エントランス
の受付カウンターに日常生活をサポートする係員を配した
り、訪問介護サービス利用を手配できるようにしたりなど、
長く住み続けられるソフト面のサービスが特徴です。これ
まで、入居者と関わらない形で賃貸運営をして来た大家さ
んが多いことを考えると、高齢化社会は入居者との付き合
い方を考え直す一端になるのかもしれません。

 NPOが高齢者の民間住宅入居を支援する「福祉長屋」
なるシステムも、興味を引いたひとつ。賃貸マンションの
1室にNPOが事務所を設け、そのマンションに入居した
高齢者の生活を支援するという仕組みで、これなら、大家
さんが入居者の安否を気遣う必要はありません。入居者は
一般の賃貸契約同様、大家さんと契約を結び、NPOに対
しては生活支援金として月に1万5000円を支払うのだとか。

 いくつになっても住まいはなくてはならない存在。今後
高齢者とどう対していくか。少なくとも、自分のアパート
に高齢の入居希望者が現れたときにどうするかくらいは考
えておいたほうがいいのかもしれませんね。

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