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京都地裁で2月28日、京都市が認定した高齢者向き優良
賃貸住宅の入居契約に付随して締結された緊急時対応サー
ビスに関する訴訟の判決が言い渡されました。
訴えを起こしたのは、緊急時対応サービスが付帯した高
齢者向き賃貸住宅に入居していたAさんのご子息。Aさん
の住宅では緊急時対応サービス、セキュリティサービス、
生活異常監視サービス、電話による健康相談サービスが受
けられることになっており、Aさんは月額2100円の利用料
を払ってこのサービスを利用していました。平成19年6月
3日午前2時頃、生活異常監視サービスを担当していた大
阪ガスセキュリティサービスコントロールセンターが、A
さん宅の室内のセンサーが12時間反応していないことを感
知、コントロールセンターの職員がAさん宅を訪れます。
ところが、呼び鈴に応答はなく、職員は合鍵でAさん宅に
入ろうとしますが、持参した合鍵が住宅の鍵と違っていた
ため、入ることができません。仕方なく、Aさんのご子息
に連絡を取り、開けてもらうことになり、ようやく室内に
入れたのは午前3時過ぎ。室内に入ると、Aさんは既に死
んでおり、医者の見解によると、死亡時刻は前日の午前11
時頃ということでした。また、鍵が開かなかったのは、管
理会社が前の入居者の時に使用していた、間違った鍵を合
鍵として大阪ガスに渡していたためでした。
そこでAさんのご子息は、緊急時に対応するサービスを
引き受けていた以上、Aさんに異常が認められたときには
速やかに現場に急行、入室して緊急時に対応する義務があ
り、その義務を履行するためには当然、住宅の合鍵を適切
に保管する義務がある、それを怠ったという点において、
緊急対応サービス契約上の安全配慮義務違反であり、不法
行為にも該当するとしました。また、正しい鍵がその場に
あれば、異常が発見されてから1時間以上遺体が放置され、
ご子息が精神的に苦痛を受けることもなかったともしてい
ます。こうした見解の背後には、高齢者が安全に暮らせる
ことを売りにしている物件が保障する安全、安心は入居者
だけでなく、その近親者にも及ぶものであるという意見が
あります。
これに対して被告である管理会社側は緊急対応サービス
契約による義務は生活異常を感じたときに現場に出動、必
要に応じて救急車の手配をすることなどにとどまり、合鍵
を保管する行為はそうしたサービスを履行するための手段
であって、契約上の義務ないし安全配慮義務には含まれて
いないと反論。また、到着した時点では契約者であるAさ
んはすでに死亡していたので、Aさんには具体的な不利益
は発生していないから、慰謝料が発生する余地はないとも
しています。
以上に対して裁判所は、緊急対応サービスが高齢者が人
に頼らなくても安心して生活できるという生活の質に関わ
るものであると考え、それが全うできなかったこと、期待
を裏切られたことによる精神的苦痛を認め、請求の一部を
認めています。ただ、近親にまで及ぶ法的な義務までは認
めておらず、開錠までの不安についても損害賠償を求める
ものではないとしています。
最近では高齢者向きの賃貸住宅が徐々に増加、入居者向
きのサービスを付加、特約としている契約もあるようです。
今後の高齢化社会を考えると、大家さんとしても高齢の入
居者対策は必要なものと思われますが、京都地裁が挙げた
ように、高齢者向きのサービスはそのひとつひとつが、生
活の質を左右する重要な存在。提供する側も、利用する側
も安易に考えてはならないものと思われます。
判決の詳細についてはこちらから。最近の判例から京都地
裁平成20年2月28日の判決を探してください。
http://www.courts.go.jp/
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