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賃貸経営Q&A

相続の悩み

Q、相続した不当に安い物件の値上げをしたい

Q

祖父からアパートと数件の一戸建てを相続しました。そ のうち1軒の一戸建ての賃料が不当に安く、驚いています。 家賃から固定資産税、都市計画税を引くと赤字になるくら いなのです。そこで、値上げを考えているのですが、住民 がヒステリックなおばあさんで、家賃の話をしに行くと、 半泣きになってご近所やひどいときには警察に駆け込んだ りします。しかも、どこを探しても契約書が出てきません。 といって、このまま、赤字を抱え続けていくつもりはあり ません。どうしたら良いでしょうか?

A

退去を要求することも可能

詳細

本来、新しい大家さんは以前の大家さんの地位をそのまま引き継ぐとされているので、大家さんが変わったからという理由だけで、家賃値上げを迫るは難しいとされています。しかし、この場合、家賃が経費を下回る事態となっており、これでは賃貸借は成り立っていません。

その理由について順に説明します。まず、ものの貸し借りについては大きく3種類があります。それが以下の3種類です。

@使用貸借 これは無償でモノを貸すことで、友達に本を貸してもらう、職場でペンを貸してもらうなどがこれにあたります。

A消費貸借 借りたものは自分で消費、代わりに借りたものと同じ種類、性質、金額のものを返すこと。銀行でお金を借りる、小銭を友人に借りて後で返すなどがこれにあたります。

B賃貸借 住宅の賃貸はこれに当たります。当事者の一方がもう一方に対して物(この場合は住宅)の使用収益を認め、その対価として賃料を徴収するというものです。

さて、現状でいただいている家賃は税金分に当たらないとのことですから、この場合の契約は賃貸借には当たらないということになります。そして、同等のものを返すという消費貸借にも当たりません。となると、ここではすでに賃貸借が成り立っておらず、使用貸借になっていることになります。

この場合、借りた人は契約があればそれに定めた時期、それがなく、期間も目的も定めがない場合には貸主が返還を要求した時に返還することとなっています。ということは今回の場合、大家さんは入居者に退去を求めることがで きるというわけです。

今後、この入居者、この物件をどうするか、 まずはその方針を考える

法律からすると上記のような理論になりますが、現実と してはさて、どうなのでしょう。まず、大家さんとして、 この入居者をどうなさるつもりでしょうか。家賃をあげる ことができれば、そのまま入居してもらっても構わないと お考えでしょうか。それとも、成り行き次第では退去して もらったほうが、でしょうか。まずはそれを考えてみるこ とが大事かと思います。

入居し続けていただくつもりなら、上記のような状況に なっていること、家賃を妥当な水準まで引き上げ、賃貸借 とし、それに合わせて賃貸借契約を結び直したいことを伝 え、交渉を始めることになります。面談で話がつきそうに ない相手なら内容証明など書面での交渉にしたほうが無難 かもしれません。先方に書面での交渉に応じる気配がない ようであれば、調停を起こすことです。これについては最 後に裁判所の調停についての解説を添付します。これでも 交渉がまとまらないようであれば、強制執行もやむなしと いうところでしょう。

この交渉期間中の家賃については預かり金という形にし ておくと良いでしょう。具体的には預り証を発行、家賃と は認めていないとする形です。また、契約を結び直す場合 には家賃以外にも注意すべきことがあります。入居者はご 高齢の方とのこと。そして、現在が不当に安い家賃です。 これが今後多少ずつ上がっていったとしても、相場からす ると安いはず。となると、この入居者の相続人が入居者の 死後、ここに住む可能性もあります。それについての取り 決めはあらかじめ考えておかればほうが良いでしょう。ま た、家賃が上がるならと、修繕や改修などの要求が出るこ とも考えられます。これについての方途も検討しておいた ほうが良いでしょう。

もうひとつ、退去やむなしという場合には、最初から退 去を求める交渉ということになろうかと思います。その場 合もやりとり自体は同様ですが、入居者の方の性格から判 断するに、もしご近所に住まわれている場合には楽しくな い誹謗中傷も覚悟なさったほうがよろしいかと思います。

いずれの場合にも、適正な家賃の根拠となる資料は用意 してください。具体的には固定資産税の納税額証明、路線 価、周辺の家賃相場などなど。できるだけ多くの、詳細な 数字があったほうが調停には有利です。その他の相続した 物件も含め、より良い経営ができますよう、お祈り申し上 げます。

民事調停のやり方について(裁判所)
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/minzi/minzi_04_02_10.html




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